トップスター・トップ娘役という関係性を考える①――ゴールデンコンビとはなんぞや
「宝塚100周年夢の祭典 時を奏でるスミレの花たち」という公演。
DVDで何回も見ていますが何度見ても飽きない豪華さがあります。
トークの際に麻実れい・ターコさんと遥くらら・モックさんが腕を組んで出てこられた時、先に舞台に出て来ていた汀夏子・ジュンコさんが「なんやそれ〜!こっち一人やで!」っておっしゃったのが印象的で。
あとから、ベルばら四天王のみなさんは相手役を務めた主演娘役はたくさんいらっしゃるけれど、いまのようなトップ娘役としての概念が希薄だったのだと感慨深い気持ちになりました。
スターシステムの確立はその次の世代なのでほぼ80年代。トップスターとトップ娘役がパートナーとして語られるようになるのはここからなのかなと。
で、まさにそのターコさん&モックさんと大地真央・マミさん&黒木瞳・ショーコさんという違うタイプのゴールデンコンビが生まれるところが面白いなと思います。
ゴールデンコンビってどういう関係性ならそう呼ばれるの?
この本によるとゴールデンコンビとは「宝塚の歴史に残る人気コンビ」のことを言うらしいです。上記の2組はもちろん該当していて、代表的なコンビとして紹介されています。
つまりは「トップコンビをみるためにチケットを買う人がいるかどうか」ということでしょう。最近だと、まさにちぎみゆですね。
ターコさんとモックさんは学年差はあっても一緒に作品をつくる同士だったのだと、お二人のインタビューを観たり読んだりすると感じます。モックさんがトップ娘役としての経験がすでにあり、ターコさんについていけるだけの、特にお芝居での技量があったから成立した関係かもしれませんが。
グラフとか歌劇の写真をみると、すごくターコさんがモックさんをかわいがって大切にしているのも感じられるし、姉妹みたいに見える。一緒に同じベクトルに向かって進んでいける信頼関係がみえる、まさにゴールデンコンビだと思います。
マミさんとショーコさんはまさに師弟関係ですよねぇ。ショーコさん、トップになったの研2だもんなぁ......そんなのついてくしかないよ(笑)。ショーコさんがあまりにも幼いので、ひたむきについてった姿が尊いんじゃないなと思います。見栄えだけで言うとゴージャスで美しいしね。
私は、見た目の相性ってすごく大事だと思っています。ああ、ぴったりだなって思えるってすごくバランスがいいんだと思うんですよ。大地真央の横にいて負けない美貌。これはなかなかいません。
2人きりだと優しいのにみんなの前で厳しくしてたマミさんになんでですかってショーコさんが聞いたら「私が厳しくすれば、他は何も言えないでしょ?」って返されたってエピソードが素敵。
どちらも違うタイプですねぇ。
でも、どちらにせよ人気コンビになるってことは、理由があるわけですよね。
個人的に考えたゴールデンコンビと呼ばれる条件はこれです。
①「ダンス・芝居・歌の相性&見栄えのバランスも良い」
②「一緒に歩んでいるさまをファンが見て楽しむことができるか」
この2点が該当していることなんじゃないでしょうか。
①は言わずもがな。
芝居の温度が一緒なのか、ダンスの息が合うか、歌声のバランスがいいか。
見栄えのバランスはお似合いのカップルに見えるかってことですね。
②は簡単に言うと、2人で支え合ってたり、娘役がトップに必死についていこうとする姿勢が微笑ましくうつるかどうか、ということですね。
舞台以外のところで培われた関係性が、演じている舞台で現れた時に尊さが生まれて、コンビとしての人気が出るんじゃないのかなって思うんですよね。
ゴールデンコンビという概念を知ったときの複雑な気持ち
さて、私は姿月あさと・ずんこさんが大好きだったわけですが、相手役は花總まり・ハナちゃん。まぁー華やかな2人で歌のうまいコンビだったし、「エリザベート」のデュエットダンスは本当に色っぽくて息もあってていまでも時折見返すくらいには大好きです。
でもこの2人がどうのこうのと思ったことはあまりないんですよね。
これは、ハナちゃんに旦那がたくさんいるからじゃなくて(笑)、宙組がずんこさんを中心に一致団結してたからじゃないかって思うわけです。ハナちゃんはすごい実力者ですけど、宙組公演を観ていると「ずんこさんの一番近くにいる組子」って感じがするんですよ。ずんこさんが求心力になって、一つの作品をつくりあげていた印象がすごく強いからかもな。すごく慕われていたしね……ずんこさん。
まさに上の宙組特集のような関係性ですよ。
だからずんこさんが退団したあと、和央ようか・たかこさんとはなちゃんがゴールデンコンビって言われだしたの知ったときの衝撃といったらなかった(笑)。
で、卒業のときのハナちゃんの挨拶がまたすごかったし……。そのころにはWOWOWとかNHKでたまたま放送されているのを観るくらいでしたけど、こういうコンビのあり方もあるんだってちょっと切なくなったんですよねぇ……。ゴールデンコンビという概念を知ったのはこのころでした。
これは自分で勝手に感傷的になってるだけで、誰も悪くないんですけどね。
そのあとも安蘭けい・とうこさんとか霧矢大夢・きりやんとか好きなスターはたくさんいるんですけど、もともと三番手くらいのときに目を引いてたスターばっかりなので、いざトップになった時にコンビとしてみるってことがなくて…。
こうやって思い返すと、コンビ萌えなんて全然してこなかったんだなー(笑)。
ヤンミキも好きだったけど、並んで踊ってるだけで「好き!満足!」っていうか、パーソナルな部分、昔はどうでもよかったんですよね。
10代のころ、男役しか見えてなかった証です……。
これは、大人になって全体を俯瞰できるようになってから娘役の大切さを知って、初めてわかることなのかもしれない。
男役のかっこよさに惹かれて宝塚が好きになったんだから、娘役は自分の媒介なんですよね。 これは先日の逸翁コンサートでミミさんもおっしゃってたみたいですね。
さて、コンビ萌えについては次の項にて。